「日本人ホームラン王」のタイトル獲得前
2023.10 更新 (近藤選手)
本項では、助っ人外国人ではなく、日本でデビューした日本人選手が初めて本塁打王のタイトルを獲得する前に放った通算本塁打数をランキングで扱う。
ここでは、王貞治選手のような外国籍保有者も含めて日本国籍保有者を日本人として扱う。
A選手が入団1年目から6本、15本、37本とホームランを打ち、37本を打った3年目にタイトルを獲得した場合、それまでに打ったホームランを21本として計算する。
↓日本人ホームラン王のタイトル獲得前通算本塁打↓
本数:選手名(球団/タイトル獲得年/本数) 入団経過年
※2リーグ制となった1950年以降に入団した打者に限る。※
記録なし:長嶋茂雄(読売/1958/29本) 1年目
〃 :桑田武(大洋/1959/31本) 1年目
7本 :野村克也(南海/1957/30本) 4年目
9本 :杉本裕太郎(オリックス/2021/32本) 6年目
23本:森徹(中日/1959/31本) 2年目
27本:山﨑武司(中日/1996/39本) 10年目
32本:江藤智(広島/1993/34本) 5年目
33本:山田哲人(ヤクルト/2015/38本) 5年目
37本:王貞治(読売/1962/38本) 4年目
39本:山川穂高(西武/2018/47本) 5年目
40本:中村剛也(西武/2008/46本) 7年目
48本:藤本勝巳(大阪/1960/22本) 5年目
50本:落合博満(ロッテ/1982/32本) 4年目
52本:近藤健介(ソフトバンク/26本) 12年目
55本:中田宏昌(阪急/1961/29本) 5年目
64本:長池徳士(阪急/1969/41本) 4年目
65本:岡本和真(読売/2020/31本) 6年目
〃 :村上宗隆(ヤクルト/2021/39本) 4年目
74本:佐藤 孝夫(国鉄/1957/22本) 6年目
85本:秋山 幸二(西武/1987/43本) 7年目
96本:掛布 雅之(阪神/1979/48本) 6年目
98本:新井 貴浩(広島/2005/43本) 7年目
〃 :村田 修一(横浜/2007/36本) 5年目
106本:大杉 勝男(東映/1970/44本) 6年目
109本:宇野 勝(中日/1984/37本) 8年目
128本:松井 秀喜(読売/1998/34本) 6年目
129本:山内 一弘(毎日/1959/25本) 8年目
138本:中村 紀洋(近鉄/2000/39本) 9年目
153本:松中 信彦(ダイエー/2004/44本) 8年目
177本:田淵 幸一(阪神/1975/45本) 7年目
180本:浅村 栄斗(楽天/2020/32本) 12年目
197本:大島 康徳(中日/1983/36本) 15年目
207本:小笠原 道大(日本ハム/2006/32本) 10年目
213本:山本 浩二(広島/1978/44本) 10年目
222本:門田 博光(南海/1981/44本) 12年目
305本:土井 正博(太平洋/1975/34本) 15年目
※
ピンク・・・通算300本塁打以上の選手
下線 ・・・現役選手
※
通算400本塁打以上でホームラン王獲得なし
・・・清原和博(525本)、張本勲(504本)、衣笠祥雄(504本)、金本知憲(476本)、阿部慎之助(406本)
2021年に本塁打王を獲得した岡本和真(読売,2年連続)と村上宗隆(ヤクルト)のセリーグの若き4番が、ともに本塁打王獲得までに65本打っていることは偶然ではあるが、興味深い。
また、その前のセリーグを代表する4番で現在はMLBに活躍の場を移している筒香嘉智(前.横浜DeNA)も、本塁打王獲得までにほぼ同数の66本打っている。
殊勲弾率
本項では、2019年シーズンで25本塁打以上を放った選手のホームランのうち、殊勲のホームランが占める割合について扱う。
殊勲弾=先制、勝ち越し、逆転、同点、サヨナラのいずれか1つ以上の価値のあるホームラン
<〜.299>
西 山川穂高・・・ .256
ヤ バレンティン・ .273
<.300〜.349>
ソ 松田宣浩・・・ .300
ソ グラシアル・・ .321
西 外崎修汰・・・ .346
<.350〜.399>
巨 岡本和真・・・ .355
巨 丸 佳浩 ・・・ .370
De 筒香嘉智・・・.379
ソ デスパイネ・・ .389
<.400〜.449>
ロ レアード・・・ .406
De ソト ・・・ .419
広 バティスタ・・ .423
楽 ブラッシュ・・ .424
<.450〜.499>
巨 坂本勇人・・・ .450
広 鈴木誠也・・・ .464
ヤ 村上宗隆・・・ .472
オ 吉田正尚・・・.483
楽 浅村栄斗・・・ .485
ヤ 山田哲人・・・ .486
<.500〜>
西 中村剛也・・・ .500
De ロペス ・・・ .516
※巨 ビヤヌエバ・・・ .625
(シーズン8本塁打中5本)
※楽 茂木栄五郎・・・ .692
(シーズン13本塁打中9本)
[比較]2013年シーズン
楽 A・ジョーンズ・・・ .538
(楽天球団初のリーグ優勝&日本一)
虎の四番のホームラン 2019
名門阪神タイガースの四番打者は、新井貴浩、金本知憲、掛布雅之、田淵幸一など球界を代表する選手が務めてきた。
その四番に座るのが25歳の大山悠輔選手である。
2019年シーズンは3年目にして全試合出場を果たし、
規定打席に到達、139安打 14本塁打 76打点は入団以来最高の成績である。
一方で打率は.258であった。
本項では、右の長距離砲としてさらなる活躍が期待されている大山選手が2019年シーズンに放ったホームランについて扱う。
1号 4月11日 DeNA戦 負け
「阪神0-2DeNA」から3回にソロ
2号 4月17日 ヤクルト戦 引き分け
「阪神0-0ヤクルト」から4回に先制2ラン
3号 4月18日 ヤクルト戦 勝ち
「阪神0-0ヤクルト」から1回に先制3ラン、2試合連続
4号 4月18日 ヤクルト戦 勝ち
「阪神4-1ヤクルト」から3回にソロ、2打席連続
5号 4月25日 DeNA戦 勝ち
「阪神0-0DeNA」から1回に先制2ラン
6号 4月29日 中日戦 勝ち
「阪神0-0中日」から2回に先制ソロ、決勝弾
7号 5月15日 巨人戦 勝ち
「阪神8-4巨人」から6回に2ラン
8号 5月26日 DeNA戦 勝ち
「阪神5-0DeNA」から5回にソロ
9号 5月30日 巨人戦 勝ち
「阪神0-0巨人」から1回に先制3ラン、決勝弾
10号 6月19日 楽天戦 負け
11号 7月17日 中日戦 負け
「阪神0-0中日」から2回に先制ソロ
12号 8月10日 広島戦 勝ち
「阪神3-5広島」から9回に逆転サヨナラ3ラン、決勝弾
13号 9月12日 ヤクルト戦 負け
「阪神0-8ヤクルト」から7回にソロ
14号 9月29日 中日戦 勝ち
「阪神4-0中日」から7回に2ラン
【14本の内訳】
4本 ヤクルト戦
3本 中日戦
3本 DeNA戦
2本 巨人戦
1本 広島戦
【殊勲弾(先制,同点,逆転,勝ち越し)】
14本中8本
7本・・・先制弾
1本・・・逆転弾(サヨナラ弾)
ホームランは14本であるが殊勲弾の割合が高いことがわかる。
殊勲弾が占める割合について、同じく若い四番打者と比較すると、大山選手のホームランに占める殊勲弾の割合の高さが窺える。
T大山選手・・・ 8/14 殊勲弾率.571
C鈴木選手・・・13/28 殊勲弾率.464
G岡本選手・・・11/31 殊勲弾率.355
先制ホームランは7本と際立って多く、
そのうち6本はその試合の第1打席で放ったものである。
なお、大山選手がホームランを打った試合は、8勝4敗1分、勝率.667となっている。
2020年シーズンは、さらなる活躍に期待したい。
低打率×ホームラン 2000年〜2020年
2020.11.10 更新 (中田選手)
新型コロナウイルス感染症の拡大によりあらゆるプロスポーツが延期や中止となっている中、福岡ソフトバンクホークスの松田宣浩選手の代名詞「熱男!」のフレーズとともにメッセージをリレー形式でつないでいく「熱男リレー」が話題となっている。
そんな松田選手は今年で37歳を迎えるが、2015年からは5年連続全試合出場を果たしており、2018年と2019年シーズンでは自身初の2年連続30本塁打を達成した。
一方で、規定打席に到達して打率3割の成績を残したことはなく、32本塁打を放った2018年の打率は.248であった。
本項では、直近21年のシーズン(2000年〜2020年)で
3割を大きく下回る打率ながら30本以上の本塁打を放った選手の成績を見ていく。
↓「.250未満での30HR以上」↓
(2020)打点王 ※短縮シーズン
打率.239 31本塁打 108打点 55四球
☆東京ヤクルト・村上 宗隆
(2019)新人王
打率.231 36本塁打 96打点 74四球
☆横浜DeNA・ホセ ロペス(2019)
打率.241 31本塁打 84打点 39四球
☆ブランドン レアード 3回
(2019)千葉ロッテ
打率.248 32本塁打 89打点 55四球
チームでは李承燁以来14年ぶりの30本
(2017)北海道日本ハム
打率.229 32本塁打 90打点 54四球
(2015)北海道日本ハム
打率.231 34本塁打 97打点 43四球
☆福岡ソフトバンク・松田 宣浩(2018)
打率.248 32本塁打 82打点 56四球
(2011)最多本塁打
打率.228 31本塁打 76打点 61四球
来日1年目、打率最下位での本塁打王
☆東北楽天・山﨑 武司
(2009)41歳を迎えるシーズン
打率.246 39本塁打 107打点 67四球
☆埼玉西武・中村 剛也
(2008)最多本塁打
打率.244 46本塁打 101打点 53四球
打率.245 35本塁打 79打点 88四球
打率.247 39本塁打 87打点 78四球
2000年〜2020年で10選手が12回記録し、
全員がシーズン100三振以上を記録している。
中でも、両リーグで3選手が記録している2019年は
珍しいシーズンであったことがわかる。
FA移籍先でのシーズンホームラン数
2022シーズン終了更新 (丸選手)
2018年オフ、同年39本塁打を放ってリーグ3連覇に貢献しMVPに輝いた丸佳浩選手が広島から巨人へ、自身初の30本台のホームランを放ち127打点で打点王のタイトルを獲得した浅村栄斗選手が西武から楽天へ移籍した。
そして迎えた2019年シーズン、彼らは移籍先のチームでも安定してホームランを放った。
本項では、FA移籍先でのホームラン数について扱う。
※☆マークは現役選手
【FA移籍「初年度」のホームラン数】
ホームラン数 選手名・年度/所属先←前所属先
33本 浅村栄斗 2019年/楽天←西武☆ ※自己最多
32本 江藤智 2000年/読売←広島
〃 清原和博 1997年/読売←西武
27本 丸佳浩 2019年/読売←広島☆
24本 谷繁元信 2002年/中日←横浜 ※自己最多
20本 広澤克実 1995年/読売←ヤクルト
※小久保はダイエーからのトレード移籍先・読売からソフトバンクへFA移籍したもの
【FA移籍先でのシーズンホームラン(最多年)】
40本 ※金本 知憲 ・阪神3年目(2005)
37本 ※和田 一浩 ・中日3年目(2010)
36本 小笠原 道大 ・読売2年目(2008)
33本 ※浅村 栄斗 ・楽天1年目(2019)☆
32本 江藤 智 ・読売1年目(2000)
〃 清原 和博 ・読売1年目(1997)
31本(MLB) 松井 秀喜・NYY2年目(2004) 海外FA
27本 丸 佳浩 ・読売1,3,4年目(2019,21,22)☆
26本 ※稲葉 篤紀 ・日本ハム2年目(2006)
25本 村田 修一 ・読売2,5年目(2013,16)
〃 小久保 裕紀・ソフトバンク1年目(2007)
24本 ※谷繁 元信 ・中日1年目(2002)
22本 広澤 克実 ・読売3年目(1997)
21本 落合 博満 ・読売3年目(最終年)(1996)
19本 新井 貴浩 ・阪神3年目(2010)
〃 ※内川 聖一 ・ソフトバンク3年目(2013)
※自己最多本塁打
【FA移籍先でのシーズン30本塁打】
1位.40本 金本 知憲 ・阪神3年目(2005)
2位.37本 和田 一浩 ・中日3年目(2010)
3位.36本 小笠原 道大・読売2年目(2008)
4位.34本 小笠原 道大・読売4年目(2010)
〃 金本 知憲 ・阪神2年目(2004)
6位.33本 浅村 栄斗 ・楽天1年目(2019)☆
7位.32本 浅村 栄斗 ・楽天2年目(2020)☆
〃 江藤 智 ・読売1年目(2000)
〃 清原 和博 ・読売1年目(1997)
10位.31本 小笠原 道大・読売1年目(2007)
〃 小笠原 道大・読売3年目(2009)
〃 金本 知憲 ・阪神5年目(2007) 39歳
(MLB) 31本 松井 秀喜 ・NYY2年目(2004) 海外FA
13位.30本 江藤 智 ・読売2年目(2001)
→13回記録
→赤字の2020年・浅村選手はFA移籍選手としては初の最多本塁打タイトル獲得(ホームラン王)
〜移籍先での30本塁打以上の回数〜
小笠原道大・・・4年連続4回
金本知憲・・・・2年連続含む3回
江藤智・・・・・2年連続2回
浅村栄斗・・・・2年連続2回(2020年現在)
FA移籍先でも1年目からホームランを多く打った選手は、それまでの在籍球団で多くのホームランを放っていたり、本塁打王のタイトルを獲得した選手である。
移籍先に所属した全てのシーズンで見ると、移籍先で自己記録を塗り替えるホームラン数を記録した金本、和田、浅村の3選手が際立つ。
金本選手はFA移籍選手として現在まで唯一の40本達成者であり、同様に浅村選手は初めてのホームラン王である。
一方で、前の球団で本塁打王のタイトルを獲得していても移籍先球団ではそれほど多くのホームランを放てなかった選手もいる。46本,36本で2度の本塁打王に輝いた村田選手や43本で本塁打王に輝いた新井選手などである。これは、移籍した先のチームでは以前のチームと打線の中での役割が変わったことも影響しているのではないだろうか。
※松井秀喜選手は2003年シーズンより海外FAで読売からメジャーリーグ(MLB)のニューヨークヤンキース(NYY)へ移籍
対象となる成績を残しているため記載
日本人野手・メジャー移籍前の成績
10月7日、横浜DeNAがクライマックスシリーズ・ファーストステージで敗退し、そして球団は今オフの主砲・筒香選手のポスティングシステムを利用したメジャー移籍について、それを容認すると発表した。
本項では、メジャー移籍した選手と移籍前の成績を比較する。
筒香嘉智(2010〜2019) ドラフト1位
NPB10年 968試合 4000打席
安打977 HR205 打点613
四球532 三振833 盗塁5(成功率.556)
松井秀喜(1993〜2002) ドラフト1位
石川・星稜高校→読売
NPB10年 1268試合 5506打席
安打1390 HR332 打点889
四球844 三振934 盗塁46(成功率.582)
岩村明憲(1997〜2006) ドラフト2位
NPB10年 977試合 4014打席
安打1073 HR188 打点570
四球372 三振878 盗塁67(成功率.770)
福留孝介(1999〜2007) ドラフト1位
NPB9年 1074試合 4503打席
安打1175 HR192 打点647
四球 三振 盗塁71(成功率.670)
巨人選手のシーズン30本塁打
球界の盟主・巨人。生え抜きのスター選手やFAで移籍の選手が、球界のスター選手としてファンを沸かせてきた。
本項では、巨人選手のシーズン30本塁打の記録を、右打者、左打者に分けて整理する。
※複数回達成者は最多のシーズン
【巨人右打者のシーズン30本塁打】
過去10人達成
2010年 A.ラミレス・49本 (ヤクルトより移籍)
2019年 坂本勇人・・40本
1968年 長嶋茂雄・・39本
2021年 岡本和真・・39本
1986年 原辰徳・・・36本
1950年 青田昇・・・33本 (戦後混乱期のみ阪急在籍)
1997年 清原和博・・32本 (西武よりFA移籍)
2000年 江藤智・・・32本 (広島よりFA移籍)
【巨人左打者のシーズン30本塁打】
過去10人達成
1964年 王貞治・・・・55本
2002年 松井秀喜・・・50本
2004年 T.ローズ・・・45本 (近鉄より移籍)
2010年 阿部慎之助・・44本
2006年 李承燁・・・・41本 (ロッテより移籍)
1986年 W.クロマティ・37本
2007年 高橋由伸・・・35本
2003年 R.ペタジーニ・34本 (ヤクルトより移籍)
1987年 吉村禎章・・・30本
過去には、王、松井、阿部、高橋ら左の生え抜き長距離砲が在籍し、長嶋や原など球界の看板選手である右打者もいたが、生え抜きの右打者では40本台を打つ選手は現れなかった。
そして今年、長嶋茂雄終身名誉監督が破れなかった壁に挑戦する権利を得た坂本勇人選手は、51年の時を経て「生え抜き右打者40本」を達成した。