2023年9月13日の横浜DeNAベイスターズvs.中日ドラゴンズの試合で、先発今永昇太投手がNPB通算1000奪三振を達成した。
今春のWBCでは決勝アメリカ戦の先発投手の大役を任された今永投手のこの記録は歴代8位のスピード達成となり、ベイスターズのエースに新たな勲章が加わった。
過去の項でも扱った記録に今永投手の記録を加えると以下のようになる。
【通算1000奪三振スピード記録】
順位 投球回 選手名(達成時所属球団) 奪三振率
1位 771.2回 藤川 球児 (阪神) 率11. 66
〜 812回 ダルビッシュ 有 (LAD) 率11. 08※
2位 834回 大谷 翔平 (LAA) 率10. 79
3位 855.1回 千賀 滉大 (福岡SB) 率10. 52
4位 871回 野茂 英雄 (近鉄) 率10. 33
5位 913回 石井 一久 (ヤクルト) 率 9. 86
〜 928回 野茂 英雄 (MIL) 率 9. 70※
6位 940回 江夏 豊 (阪神) 率 9. 57
7位 958回 則本 昂大 (楽天) 率 9. 39
8位 979.1回 杉内 俊哉 (福岡SB) 率 9. 19
9位 983.1回 今永 昇太 (横浜DeNA) 率 9.15
10位 986回 藤浪 晋太郎 (阪神) 率 9. 13
11位 997.1回 伊良部 秀輝 (ロッテ) 率9. 02
※赤字はメジャーリーグ経験者
1000奪三振を983回と1/3で達成したため、奪三振率は9を上回る9.15となっている。
今季30歳を迎えている今永投手は、世界トップクラスの回転数を誇るノビのあるストレートや高い奪三振率もあり、メジャーリーグからも貴重な左腕として注目されている。
今年のオフでのメジャー移籍も有力視されているが、この記録を見ると特徴的なことがある。
それは、スピード記録に名を連ねる選手の多くがメジャーリーグ移籍を果たしているところだ。(上記赤字の投手)
上記12名の投手のうち、メジャーリーグ経験者は8名と3分の2を占める。(ダルビッシュ投手は日本でのスピード記録には名前がないが、メジャーリーグではメジャー史に残る驚異的なスピードで記録している。)
メジャーリーグでもハイペースで奪三振を積み重ねた野茂投手やダルビッシュ投手はもちろん、大谷投手、今年からニューヨーク・メッツに移籍しルーキーながらも低迷するチームのエースとして孤軍奮闘する千賀投手などいずれもメジャーの舞台でも三振奪取能力を発揮している。
今年からメジャーリーグに移籍し、トレードによりオークランド・アスレチックスからボルチモア・オリオールズへと移籍した藤浪投手も、防御率の数字は特筆すべきものではないが、シーズンが終盤へと向かうにつれ首位を快走するチームの重要な中継ぎ戦力となっている。
これから推測するに今永選手も十分メジャーリーグで活躍する可能性はあると言えるかもしれない。
他のランクイン投手との違いとしては、経歴と年齢をまずあげることができる。
他のランクイン投手の経歴とメジャー移籍年齢は以下の通り。
大谷 24歳 高卒でプロ入り
ダルビッシュ 26歳 高卒でプロ入り
野茂 27歳 高卒社会人野球経由でプロ入り
伊良部 28歳 高卒でプロ入り
石井 29歳 高卒でプロ入り
藤浪 29歳 高卒でプロ入り
千賀 30歳 高卒でプロ入り
今永? 31歳(来季) 大卒でプロ入り
藤川 33歳 高卒でプロ入り
今永投手は、この中で唯一の大卒入団の投手であることがわかる。
また、日本のNPBで奪三振能力を発揮してメジャーでも活躍する投手は20代半ばから後半の年齢で移籍しているが、最速で来季の移籍となる今永投手は移籍時31歳である。
ランクイン投手の中では、同じ大卒で今永投手よりも早くして奪三振型エースとして球界に君臨した則本投手は、20代後半にメジャー移籍の可能性もあったが残留し、33歳となる現在も東北楽天の主力投手として勝ち星を積み重ねている。
メジャー移籍を決断するのは今永投手である。
今永投手の今シーズン最後までの活躍に期待し、
どのような決断でも応援したい。